Axie Vibeathonは、AI開発ツールを活用してAxie Infinityの新しいゲーム体験を制作する、Sky Mavis主催のオンラインイベントだ。 第1ラウンドの応募作品から90本がGames Hubで公開され、ブラウザなどから実際にプレイできるようになった。 ただし、2026年9月30日の報道時点では審査結果や第2ラウンド進出作品は未発表であり、公開作品の多くも完成版ではなくプロトタイプとして評価する必要がある。
Axie Vibeathonで90本のゲームがプレイ可能に
BlockchainGamerの報道によると、Sky Mavis初のAI活用型ハッカソン「Axie Vibeathon」には402人のビルダーが登録し、最終的に90本のゲームが完成した。各作品は公式サイト内のGames Hubに掲載され、プレイヤーはゲームの紹介、操作方法、開発者情報などを確認しながら外部の公開ページへ移動できる。
公式発表では、Vibeathonは「Axie Coreを中心としたプレイ可能なAxieゲーム」を個人で制作する2ラウンド制のイベントと定義されている。参加者は自ら管理する場所にゲームを公開し、そのリンクをVibeathonへ提出する仕組みだ。つまり、Games Hub自体が全作品を稼働させているのではなく、各開発者のホスティング先へ案内するポータルとして機能する。
第1ラウンドでは、プレイ可能なプロトタイプ、完成版に向けた構想、Axie Coreとの適合性が求められた。最大8作品が第2ラウンドへ進み、完全なゲームループや承認済みのエコシステム連携を開発する予定である。公式スケジュールでは第2ラウンドは10月4日から31日、受賞作品の発表は11月5日とされているが、9月30日のBlockchainGamer記事公開時点では進出作品はまだ発表されていなかった。
審査で最も重視される「Axie Core」とは
Vibeathonの特徴は、単にAxieの画像を使うだけでなく、個体ごとの特徴をゲーム設計へ組み込むことが重視されている点にある。公式の審査配分は、Axie Coreが35%、ゲームプレイが25%、プロダクトビジョンが20%、実現可能性が10%、プロトタイプとドキュメントの品質が10%だ。
ここでいうAxie Coreには、Axieのクラスや6つのボディパーツなど、その個体を構成する特性が含まれる。BlockchainGamerは、公開作品のうち38本がAxieのDNAをゲームメカニクスへ直接結び付けていると報じた。
分かりやすい例が「Axie Infinity Tactics Dice」だ。開発者Kingstower97は、Axieが持つ6つのボディパーツをサイコロの6面に対応させ、「Axieそのものがダイスになる」というルールを構築した。見た目だけを借りた作品ではなく、Axieの構造を操作やランダム性へ変換しているため、Axie Coreをゲームとして表現した事例といえる。
審査前には適格性と安全性の確認が行われ、有効な作品には独立した審査員による評価が実施される。人気投票だけで最終順位が決まる仕組みではない点には注意したい。
戦術RPGとオートバトラーに見る有力作品
90作品にはレース、コージーゲーム、シューティングなど複数のジャンルが含まれる一方、Axie Infinityがカード型バトルを中心に発展してきた影響も色濃い。BlockchainGamerによれば、公開作品の半数近くが何らかの戦略的戦闘を採用している。
「Axie Infinity: Tactics」は、「Final Fantasy Tactics」や「Disgaea」から着想を得たと説明されるグリッド型のタクティカルRPGだ。Axieを盤面上のユニットとして扱うため、ボディパーツやクラスの違いを移動、射程、役割へ発展させられる余地がある。
「Lunacia Synergy」は、六角形の盤面を採用した3Dオートバトラーである。プレイヤーは36体のAxieでデッキを構築し、ショップの経済や利息を管理しながら戦力を整える。さらに、遺伝的な純度を条件とするフュージョン要素が紹介されており、Axieの個体差を編成上の判断へ結び付けている。
コミュニティの初期反応では、「Lunacia Command」「Angry Axies」「Axie Infinity: Tactics」「Axie: Lost Bonds」「Axie Royale」などに支持が集まったと報じられた。ただし、これは9月30日時点の「いいね」に基づく初期データであり、公式審査の結果や長期的なプレイヤー評価を示すものではない。
MMO、伝統遊び、位置情報ゲームまで広がる実験
Vibeathonの価値は、戦闘ゲームの多さだけでは測れない。Axieという共通IPを使いながら、従来のAxie Infinityとは異なる遊び方を検証する作品も登場している。
「Tower Of Lunacia」は、プレイヤーが協力して上層階を目指す100階建てのMMOとして紹介された。次の階へ進むためのリフトを参加者が共同で支えるという設計で、個人戦中心のゲームとは異なるコミュニティ型のループを試している。
「TEKS GO」は、フィリピンの伝統的な遊びをAxieのテーマで再構成した作品だ。Axie Infinityがフィリピンを含む国際的なコミュニティを形成してきた背景を踏まえると、地域文化とIPを結び付ける方向性は、単なるジャンル変更とは異なる意味を持つ。
「Axie Go」は、GPSを利用するモバイル向けのmove-to-earnゲームとして掲載された。位置情報、移動、Axieの育成や報酬をどう安全に組み合わせるかが今後の焦点になる。現段階ではVibeathon出展作品であり、商用サービスとしての継続運営、対応地域、報酬設計が確定したと受け取るべきではない。
コージーゲームやレース、シューティングも含まれていることから、Vibeathonは「Axieはカードバトル向け」という既存の前提を検証し直す場になっている。
RoninウォレットやAxie NFTは必須ではない
Web3ゲームとして重要なのは、90作品すべてがブロックチェーンゲームとして設計されているわけではないことだ。BlockchainGamerによると、Roninウォレットを必要とする、またはプレイヤー自身のAxie NFTを利用できる作品は11本だった。Vibeathonではブロックチェーン機能が任意とされているため、この少なさは参加条件への違反ではない。
これは、まずゲームとして遊べる試作品を作り、その後に必要なオンチェーン機能を検討する開発順序とも解釈できる。例えば「Axie Infinity: Tactics」のような戦術ゲームは、固定キャラクターだけでも基本ループを検証できる。NFT連携を追加する場合は、所有Axieの読み込み、ボディパーツの反映、ウォレット接続失敗時の代替導線など、別の実装課題が生じる。
Ronin公式ドキュメントでは、APIサービスを通じてウォレット情報、NFT、トークン、取引データを取得できると説明されている。しかし、APIが利用可能であることと、各Vibeathon作品が安全なNFT連携を実装していることは同義ではない。
プレイヤーは、試遊だけでウォレット接続が必要か、署名画面に何が表示されるか、資産移動を伴う操作かを個別に確認したい。プロトタイプへ接続する場合は、メインで利用するウォレットを安易に接続せず、作品の説明と要求権限を読むことが基本となる。
Games Hubで遊ぶ際に確認したいポイント
90作品を比較する際は、ランキングや「いいね」の数だけでなく、ゲームとしての完成度とAxieらしさを分けて見ると理解しやすい。
第一の確認点は、Axieの個体差が実際の判断へ影響するかだ。「Axie Infinity Tactics Dice」の6面ダイスや、「Lunacia Synergy」の遺伝的純度を条件にしたフュージョンのように、Axie Coreがルールへ組み込まれている作品はイベントの趣旨を把握しやすい。
第二は、繰り返し遊べるゲームループがあるかである。「Tower Of Lunacia」の共同進行や、「Axie Infinity: Tactics」の盤面戦術が、初回プレイ後も異なる選択を生むかを確認したい。見栄えの良いデモであっても、操作の目的や勝敗条件が不明確なら、完成版へ向けた課題は大きい。
第三は、ウォレットや位置情報などの外部機能だ。「Axie Go」のようなGPS作品、「TEKS GO」のような地域文化を題材にした作品、「Axie Royale」のような対戦型作品では、それぞれ必要な権限やオンライン機能が異なる。Games Hubは各開発者のホスティング先へリンクする形式であるため、接続先のURL、操作説明、リポジトリやデモ動画の有無も確認材料になる。
なお、公式発表は、有望なアイデアが将来独立作品やAxieエコシステムとの統合へ進む可能性を示す一方、受賞者やファイナリストに製品化の権利が自動的に与えられるわけではないと明記している。
まとめ
Axie Vibeathonでは90本のプレイ可能な作品が公開され、「Axie Infinity: Tactics」「Lunacia Synergy」「Axie Infinity Tactics Dice」など、Axieのクラス、ボディパーツ、DNAをゲームルールへ変換する試みが登場した。「Tower Of Lunacia」「TEKS GO」「Axie Go」のように、MMO、地域文化、位置情報へ展開する作品もあり、Axie IPの用途がカードバトル以外へ広がっている。
一方、Roninウォレットや実際のAxie NFTを使える作品は一部にとどまり、ブロックチェーン連携は参加上の必須条件ではない。公開作品は実験的なプロトタイプを含むため、ウォレット接続や署名を求められた場合は内容を慎重に確認する必要がある。
次の注目点は、最大8作品となる第2ラウンド進出者と、11月5日に予定される受賞作品の発表だ。Games Hubで今遊べる内容と、将来の正式なAxieエコシステム統合は区別し、Sky Mavisの公式発表を追うことが重要である。

