HYTOPIA共同創業者のArkDevは、同プラットフォームの失敗を受け、探索と建築を中心に据えた基本プレイ無料ゲームの構想を公開した。
ただし、これは正式発表された新作ではない。開発日程やリリース日は決まっておらず、プレイヤーから意見を募る初期段階の提案である。
HYTOPIA失敗後に示された新たなゲーム構想
BlockchainGamerの報道によると、ArkDevが検討しているのは、Minecraft風の建築、RuneScape型のスキル育成、Path of Exileを参考にした装備経済を組み合わせる探索ゲームだ。
HYTOPIAは、Minecraftのようなボクセル表現と、Robloxのように外部開発者がゲームを制作できる仕組みを統合しようとしていた。しかし、独自クライアント、サーバー、開発者向けツール、ゲーム配信基盤を同時に構築する計画は複雑かつ高コストだった。現在、HYTOPIA公式サイトでは資金面の課題によりサービスを一時停止していると案内されている。
今回の提案は、巨大なUGCプラットフォームを先に完成させるのではなく、遊び方が明確な一本のゲームへ開発範囲を絞る発想といえる。ArkDevは「このゲームを遊びたいか」「何を変更してほしいか」をコミュニティに問いかけており、商品名や正式なロードマップを発表したわけではない。
したがって、現時点で予約、トークン購入、NFT取得などを急ぐ理由はない。まずは構想に対する反応を確認し、実際の試作や開発計画へ進むかを判断する段階だ。
平和なホームワールドと危険な探索世界
ゲームの拠点になるのは、恒久的に維持される平和なホームワールドだ。プレイヤーはここで建物を造り、入手した資源や装備を保管し、クラフトを行う。キャラクターだけでなく、自分の拠点もプレイを重ねるほど発展していく設計である。
探索へ出る際は、NPCのキャラバンガイドを通じてランダム生成された世界へ移動する。構想上、各探索エリアは縦横それぞれ1024の広さを持ち、複数のバイオーム、野生生物、洞窟、遺跡、ダンジョンなどが配置される。
プレイヤーは資源や装備を発見し、キャラバンまで無事に戻ることで戦利品をホームワールドへ持ち帰る。持ち帰った素材は、新しい建物や装備の制作に利用できる。より良い装備が完成すれば、これまで到達できなかった場所や、希少な資源が存在する探索先へ進めるという循環だ。
Minecraft型の自由な建築を単独の遊びにせず、探索、収集、クラフト、次の探索準備へつなげる点が重要になる。建築物に実用性が伴えば、拠点を飾ることとキャラクターを強化することが、別々の作業になりにくい。
撤退判断が生むリスクと緊張感
探索の中心に置かれるのが、「いつ帰るか」という判断だ。探索中に死亡すると、その遠征で集めた戦利品をすべて失う。一方、出発前から所有していた装備と、キャラクターのスキル進行は失われない想定である。
これは、失敗時に全資産を失うハードコアな設計と、何度失敗しても影響がほとんどない設計の中間に位置する。奥へ進めば価値の高い発見が期待できるものの、それまでに集めた資源を失う危険も大きくなる。十分な成果を得た時点で撤退するか、さらに探索を続けるかが、毎回のプレイに緊張感を生む。
Escape from Tarkovなどの脱出型ゲームにも似た考え方だが、ArkDev案では戦闘だけでなく、採掘、釣り、登攀、洞窟探索、クラフト用素材の回収などが重要になる。戦利品を安全な拠点へ運ぶこと自体が、一本の短い冒険として成立する設計だ。
装備やスキルを恒久的な進行として保護することで、失敗してもキャラクター育成が完全に巻き戻らない。損失の痛みを残しつつ、再挑戦への意欲を維持できるかがゲームバランスの焦点になる。
RuneScape型スキル育成とレベル99
スキルはRuneScapeのように、対応する行動を繰り返すことで成長する。例として挙げられているのは、採掘、釣り、登攀、クラフトだ。各スキルはレベル99まで成長し、高レベルになるほど移動、生存、資源採取などの能力が向上するほか、新しいクラフトレシピにもアクセスできるという。
この方式では、敵を倒すことだけが成長手段ではない。釣りを続けるプレイヤー、鉱石を探すプレイヤー、危険な崖や水中を探索するプレイヤーが、それぞれ異なる形でゲーム内経済へ参加できる。
例えば、登攀能力が上がれば高所の遺跡へ到達しやすくなり、採掘能力が上がれば希少な鉱物を入手できる可能性が広がる。クラフトを専門にするプレイヤーは、探索を得意とする仲間から素材を受け取り、より良い装備へ加工する役割を担える。
一方で、レベル上げが単純な反復作業になれば、RuneScapeの長期育成を参考にしても現代のモバイル利用者には負担となり得る。短時間の探索でも進展を感じられるか、スキルごとに異なる遊びが用意されるかが重要だ。
Path of Exile風の装備とプレイヤー間取引
装備システムはPath of Exileから着想を得ており、アイテムにはランダムな効果が付く。ArkDevが挙げた例には、登攀時の持久力や潜水可能時間を延ばす効果がある。
装備は探索先で発見できるほか、持ち帰った素材から制作し、追加のボーナスを付与できる構想だ。同じ種類の道具でも効果の組み合わせが異なれば、探索目的やプレイスタイルに応じて価値が変わる。
さらに、装備と資源はプレイヤー間で取引できる。探索、素材供給、クラフト、装備販売という分業が成立すれば、戦闘力だけでは測れない経済的な役割が生まれる。最大人数まで協力して探索する際にも、採集役、移動支援役、装備制作役などの専門性を持たせやすい。
ただし、取引可能だからといって、ブロックチェーンやNFTが採用されるとは限らない。今回報じられた構想には、トークン、NFT、オンチェーン取引、換金機能に関する具体的な説明がない。現段階では「ゲーム内で取引できる装備経済」として理解し、Web3要素の実装を既定路線とみなすべきではない。
手作りダンジョンと最大8人の協力プレイ
ランダム生成された探索世界だけでなく、開発チームが設計する手作りのダンジョンやチャレンジも用意する案が示されている。そこでは、準備したキャラクターと装備を試す戦闘や課題が登場し、希少な戦利品や実績が報酬になる。
自動生成マップは繰り返し遊べる一方、目的や演出が薄くなる場合がある。手作りコンテンツを組み合わせることで、「このダンジョンを攻略するために採掘やクラフトを進める」という具体的な長期目標を提示できる。
対応プラットフォームとして想定されているのはブラウザとモバイルだ。ソロプレイに加え、最大8人での協力プレイを検討しており、自分のキャラクターと装備を友人のセッションへ持ち込めるという。
端末を問わず同じキャラクターで遊べれば参加のハードルは下がる。ただし、ブラウザとモバイルの双方で、広いランダム生成世界、建築、同期型マルチプレイを快適に動かすには高い技術力が必要だ。HYTOPIAで開発範囲の大きさが問題になった以上、新構想では機能を段階的に実装できるかが問われる。
NFT WorldsからHYTOPIAへ至った経緯
チームの出発点は、Minecraft上のワールドをNFTと結び付けたNFT Worldsだった。ところがMojang Studiosは2022年7月、Minecraftのクライアントやサーバーへブロックチェーン技術を統合することや、ゲーム内コンテンツをNFTによる希少資産として扱うことを認めない方針を公表した。
その後、プロジェクトはHYTOPIAへ名称と方針を変更し、Minecraftに依存しない独自ゲーム基盤の構築を目指した。HYTOPIA公式ブログでは、独自クライアント、SDK、ワールドビルダーなどの開発状況が継続的に紹介されていた。
しかし、外部開発者のゲームを支えるプラットフォームは、一本のゲームとは異なる難しさを持つ。制作ツール、コンテンツ管理、端末対応、サーバー運用、クリエイター獲得、プレイヤー集客を同時に成立させなければならないからだ。
今回の構想は、NFT Worlds以来のボクセル建築やプレイヤー所有感を残しながら、まず遊べるゲームループへ集中しようとするものに見える。ただし、開発開始や資金調達、既存HYTOPIA資産の扱いについて正式な発表はない。
まとめ
ArkDevの新構想は、恒久的なホームワールドを拠点に、ランダム生成世界を探索し、資源や装備を持ち帰る基本プレイ無料ゲームだ。Minecraft風建築、RuneScape型スキル育成、Path of Exile風装備という既存作品の強みを、一つの探索サイクルへまとめようとしている。
注目点は、死亡時に遠征中の戦利品だけを失うリスク設計、行動で育つ複数のスキル、ランダム効果を持つ装備、プレイヤー間取引、ブラウザとモバイルに対応する協力プレイである。
一方、現状はコミュニティへ意見を求める企画案にすぎない。正式名称、発売時期、収益モデル、ブロックチェーン対応はいずれも未発表だ。HYTOPIAの反省を生かせるかを判断するには、実際の試作、開発範囲、資金計画、そしてゲームとしての面白さを確認する必要がある。

