AWS Agentic Football Cupは、5体のAIエージェントを自然言語で指導し、5人制サッカーの試合で競わせるオンライン大会です。 参加者は選手を直接操作せず、各ポジションの判断基準をプロンプトとして設計します。公式日程では2026年9月11日にAlpha Seasonが開幕し、7週間のリーグ戦が行われます。
Animoca BrandsとAWSがAIサッカー大会を開催
Animoca BrandsのAIプラットフォーム「Minds」とAmazon Web Services(AWS)は、「AWS Agentic Football Cup - Virtual League」のAlpha Seasonを開催します。BlockchainGamerが報じた内容によると、リーグ用ポータルは2026年9月10日16時(UTC)にオープンする予定です。これは大会公式サイトが示す9月11日0時(UTC+8)と同じ時刻に当たります。
参加者が率いるのは、人間の選手ではなくAIエージェントだけで構成された5人制チームです。プレイヤーが試合中の選手をリアルタイムに細かく動かす一般的なサッカーゲームとは異なり、監督として「どの状況で、どのように判断するか」を文章で教えます。
参加登録とプレイは無料で、公式サイトではコーディング不要と案内されています。ただし、参加資格には年齢や居住地域などの条件があります。公式ルールでは18歳以上、または居住地で定められた成人年齢以上であることが必要です。対象外となる国・地域もあるため、登録前に必ず最新のOfficial Rulesを確認してください。
5体のAIエージェントを自然言語で指導
チームはゴールキーパー、ディフェンダー、ミッドフィルダー、フォワード2体の合計5体で構成されます。それぞれが独立したAIエージェントであり、参加者は選手ごとに役割と行動方針を設定します。
例えば、ゴールキーパーには「相手がペナルティーエリア付近へ侵入した場合だけ前へ出る」、ディフェンダーには「ボール保持者へ寄せるが、最終ラインの背後を空けない」といった指示を与えられます。ミッドフィルダーには守備から攻撃への接続、フォワードにはシュートや裏への走り出しの条件を指定できます。
重要なのは、もっともらしい指示を書くだけでは十分ではない点です。「積極的にプレスする」という指示をディフェンダーへ単独で与えると、背後のスペースを繰り返し使われる可能性があります。その場合、Mindsの大会参加者はミッドフィルダーへカバーリングを指示するなど、複数エージェントの連携を再設計する必要があります。
各選手を個別に賢くするだけでなく、5体を一つのシステムとして機能させることが大会の中心的な課題です。これは、単一の回答を生成するチャットAIとは異なる、マルチエージェント型ゲームならではの面白さといえるでしょう。
AIモデルの選択も戦術の一部になる
BlockchainGamerの記事では、監督が各エージェントを動かすAIモデルを選択できると説明されています。同じプロンプトでも、モデルによって指示の解釈、判断の傾向、応答速度が異なる可能性があります。
例えば、守備位置の維持を重視するモデルをディフェンダーへ割り当て、状況に応じた選択肢を比較するモデルをミッドフィルダーへ配置するといった役割分担が考えられます。ただし、どのモデルが特定ポジションに適しているかは、公式に保証されたものではありません。練習試合で実際の挙動を観察し、再現性を確認する必要があります。
AWSの関連技術としては、Amazon Bedrockが基盤モデルへのアクセスを提供し、Amazon Bedrock AgentCoreがAIエージェントの実行・運用基盤を担います。公式ルールでは、参加者が作成したエージェントをAmazon Bedrock AgentCoreへデプロイして大会へ参加するとされています。
AWS AI/ML Communityの解説では、試合エンジンが選手やボールの位置、得点、残り時間などのゲーム状態をエージェントへ送り、エージェントがパス、シュート、移動、タックルなどの行動を返す仕組みが紹介されています。AIの能力だけでなく、応答の安定性や遅延も競技結果に影響する設計です。
練習試合とライブ指示でプロンプトを改善
ポータルの公開後、参加者はチーム名の設定、ロゴのアップロード、5体のエージェント作成、デプロイを行います。その後、テストや練習試合を通じて、プロンプトが意図した動作につながっているかを確認します。
改善時は「負けたから攻撃的にする」といった曖昧な修正ではなく、観測した問題を行動条件へ分解することが重要です。例えばフォワードが遠い位置からシュートを繰り返す場合は、シュートを選ぶ距離、味方の位置、相手守備の人数を条件として明記します。ディフェンダー同士が同じ相手へ集中する場合は、誰がボール保持者へ寄せ、誰が中央を守るかを分担させます。
大会プラットフォームでは試合をライブ観戦し、試合中に指示を入力できると報じられています。事前に設定した戦術だけでなく、得点差や残り時間、相手の戦い方に応じた修正も勝敗を左右しそうです。
実践では、最初から長大なプロンプトを作るより、役割、優先順位、禁止行動、例外条件の順に整理すると検証しやすくなります。変更前後の試合を比較するため、一度に多くの条件を書き換えず、一つずつ調整する方法が有効です。
7週間のリーグ戦からラスベガス決勝へ
Alpha Seasonでは、各チームが毎週10試合を行います。各ラウンドの競技期間は金曜日から日曜日までで、7週間にわたりリーグ戦が進行します。大会は最大6リーグで構成され、公式サイトでは各リーグ最大2,000チームと案内されています。
公式ルールによると、最終ラウンド終了後、リーグ上位6人とワイルドカード4人の合計10人がGrand Finaleへ進出します。決勝はAWS re:Invent 2026の一環としてラスベガスで開催され、re:Invent自体の日程は11月30日から12月4日までです。公式ルールではAgentic FootballのGrand Finaleを12月3日としています。
Grand Finaleの賞金は1位3万米ドル、2位1万5,000米ドル、3位5,000米ドルで、合計5万米ドルです。Virtual Leagueから選ばれるファイナリストには、re:Inventのチケット、往復のエコノミークラス航空券、500米ドルの滞在用資金が含まれると公式ルールに記載されています。
賞金や渡航支援には資格確認と規約が適用されます。勤務先の贈答・倫理・調達方針、居住地の法令、渡航条件も参加者自身で確認する必要があります。
GameFi読者が注目すべきポイント
Animoca BrandsはThe SandboxなどWeb3領域との関わりで知られていますが、今回公表されたAgentic Football Cupの中心は、トークンやNFTの売買ではなくAIエージェントの設計と競技です。少なくとも公開中の公式大会ページとルールでは、参加に暗号資産の購入が必要とは案内されていません。
それでもGameFi業界にとって重要なのは、ゲーム内キャラクターが「決められた動きを再生する存在」から「状況を解釈して行動するエージェント」へ変化する可能性を、競技形式で試している点です。Minds、Amazon Bedrock、AgentCoreを組み合わせた今回の取り組みは、AIキャラクター同士の協調、プレイヤーによる自然言語の戦術設計、観戦型コンテンツという新しいゲーム体験を提示しています。
一方で、AIエージェントの挙動には非決定性があり、同じ指示が常に同じ結果を生むとは限りません。公平な大会運営には、利用可能モデル、応答時間、障害時の扱い、試合条件の統一などが重要になります。参加者はプロンプトの巧さだけでなく、安定して期待する行動を引き出せるかも検証すべきでしょう。
まとめ
AWS Agentic Football Cupは、Animoca BrandsのMindsとAWSが展開する、自然言語でAIサッカーチームを指導するオンライン競技です。参加者は5体のAIエージェントへ個別の役割を設定し、練習試合とライブ指示を通じてチーム全体の連携を改善します。
公式日程ではAlpha Seasonが2026年9月11日に始まり、7週間のリーグ戦を経て10人がラスベガスのGrand Finaleへ進出します。参加を検討する場合は、まず公式サイトで資格条件を確認し、役割を明確にした短いプロンプトからテストを始めるとよいでしょう。
本大会は従来型のブロックチェーンゲームとは異なりますが、AIエージェントがゲームプレイの主体となり、人間が監督や設計者として関与する次世代ゲームの実例として注目されます。

